当塾が宿題をほとんど課さない訳

当塾では宿題というものをほとんど課しません。

課したとしてもよそ様の塾と比べるとごくごくわずかです。

その最大の理由は『内発的動機付け』を最大化するためです。

 

動機付け、すなわちモチベーションには2種類あります。

1、外発的動機付け

2、内発的動機付け

です。

『外発的動機付け』とはいわゆるアメとムチに象徴されるような、報酬と罰による動機付けです。

一方『内発的動機付け』とは使命感、責任感、充実感、達成感、義務感などによる動機付けです。

 

1945年、カール・ドゥンカーという心理学者がある実験を行いました。

【ロウソク問題】と呼ばれる有名な実験です。

内容は「ロウソク」と「画びょう」と「マッチ箱に入ったマッチ」が用意された部屋に入り、

【壁にロウソクを固定せよ】という指示を遂行する問題です。

始めはロウソクを画びょうで壁に固定しようとするがうまくいきません。

次に火を付けてロウソクを溶かしながら壁に固定しようとするがそれもうまくいきません。

そうこうする間に、空のマッチ箱を画びょうで壁に固定して、

その上にロウソクを置けば正解であるという事に気付くという実験です。

要は、単純作業ではなく試行錯誤の末にある程度誰でも達成出来る実験という事です。

 

そして、博士はこの実験を2つのグループに分けて実施しました。

1つは「正解までの速さが上位25%には5$、1位には20$を与えると宣言した報酬型グループ」

もう1つは「一般的にかかる時間が知りたいから無償で協力して欲しいと頼むボランティアグループ」

さてどちらが早く正解できたでしょうか。

 

なんと報酬型グループのほうがボランティアグループよりも

平均して3分半も多く時間が掛かってしまったのです。

 

他にもダン・アリエリーという経済学者やカーネギーメロン大学の教授、

シカゴ大学の教授たちがMITの学生を対象に同じような実験を行いました。

結果はやはり「報酬型」がもっとも成績が低くでたそうです。

ちなみにインドのスラム街でも同様の実験を行いましたが結果は同じだったそうです。

 

つまり、報酬はクリエイティブな作業を阻害こそすれプラスにはなり得ないという事です。

それは社会科学的には、

報酬により思考回路が視野狭窄を引き起こすからであると結論付けられています。

今では常識ですらありますが、前時代的な仕組みの社会では中々理解されない部分でもあります。

ちなみにグーグルではこの考えを活用して社員は1日のうち20%は仕事(=報酬)と、

全く関係の無い作業をしなければならないそうです。

そして、その作業の中からGmailやGnewsなど革新的なサービスが生まれたそうです。

 

たかが宿題といえど仕組みは同じであると私は思います。

授業を受けて、本当に理解が足りないと思えば自ら進んで+αで取り組みます。

もちろんそのためのツールは事前に用意しておいてあげる必要はあります。

だからこそ当塾はこんなに小規模なのに大手予備校が使う最高品質の映像授業も導入はしています。

(経営的には非常に痛い!(笑))

しかし使う事の強制はしません。

最もお勧めするスタイルは自習形式です。

そこに自分で足らないと思う部分だけ授業なり映像授業なり足していければ良いと考えています。

 

内発的動機付けに導くことは、それはそれは大変な作業であります。

特に中学生には時に心が折れそうになる時もある程です。

よっぽど怒鳴りつけて強制でやらせる方が楽ですし短期的な結果には表れます。

そして私はそれを完遂させられる素養を十分に持ち合わせております(笑)

しかし、それをやってきた経験のあるものとして、

またその指導をしてきたその後の様子を見てきたものとして、

今は絶対にそのような指導は致しません。

 

粘り強く粘り強く内発的動機が着火するポイントを探してはその都度挑戦しています。

緩やかな結果にしか現れませんが、数年単位で捉えれば圧倒的な差を生みます。

 

そんな考えの塾ですから、

宿題を課すことはあまりありません。

 

夏期講習中の中3生は

「嘘や!嘘ついてる!」

というかもしれませんが(笑)

これもケースバイケースです。

あくまで宿題に関しては通常期の当塾の考えとお考え下さい。

しかし常に上記のような考えでもって指導には当たらせて頂いております。

 

 

 

 

 

 

 

2017年07月27日